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こんな男です…


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忍者アナライズ
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「ほりだし砂絵 〜なめくじ長屋捕物おさめ」

西荻窪まではるばる出かけ、盛林堂書店から同人誌の形で出版された都筑道夫の最後の作品「ほりだし砂絵  〜なめくじ長屋捕物おさめ」を購入してきた。

砂絵のセンセーを軸に、通称「なめくじ長屋」の面々が活躍するシリーズ、本当に最後の最後の作品である。

 

未収録のまま残されていた短編は「化物かるた」一編だけだが、それだけでは一冊の本として出版するにはボリュームが不足している。そこで都筑道夫を敬愛する17人の作家や評論家の方々がエッセイを寄稿し、めでたく一冊の本としてまとめられる運びとなった。

これは都筑道夫という作家が如何に人々(特に業界人)に愛されていたか、後進に影響を与えたかの証拠である。

都筑道夫愛が結集した一冊と言っていいだろう。

 

オレも都筑道夫を敬愛している。

できることならオレも寄稿したかった!

しかし、もっともっと有名な作家の中にもオレのように臍を噛んでいる方がたくさんいるに違いない。

特に宮部みゆき。彼女の作品はどれをとっても都筑道夫の影響が大きく感じられるし、「センセー」と公言していたひとりである。同じ事務所の大沢在昌と京極夏彦が寄稿しているのに、仲間はずれになったのは何故なんだろう。さぞ無念だったろうなぁ…

 

 

1969年から書き継がれた「なめくじ長屋」のシリーズは都筑道夫のライフワークのような作品だった。

元々は「本格ミステリとしての捕物帳の復活」で、江戸の時代風俗を後世に残すことを主眼として本格ミステリを書いた岡本綺堂の「半七捕物帳」のような作品を書きたいと思ったのがこのシリーズを始めたキッカケだと語っていた。

 

飽きっぽいと言っては失礼かもしれないが、都筑道夫にはたくさんの探偵キャラクターがいる。物部太郎、キリオン・スレイ、雪崩連太郎、西連寺剛、滝沢紅子、泡姫シルビア…

もっともっと読みたいシリーズがいっぱいあったが、長期に渡って書き続けられたのは「なめくじ長屋」と「退職刑事」のシリーズくらいしかない。

 

「なめくじ長屋」シリーズ最後の作品集である「うそつき砂絵」に収録されたのは「百物語」と「二百年の仇討」の二作で、これでおしまいのはずだったのに、未収録の作品があったのは何故なんだろう?

「化物かるた」は祥伝社の月刊誌「小説NON」1988年2月号に掲載された作品だという。

年代でいえば、「うそつき砂絵」の一作前の「さかしま砂絵」に収められた作品群と同じ時期だ。

内容も他の作品と比較しても文句なしの水準を満たしているし、発表するのに不都合がありそうな表現も見当たらない。

 

しかし、未収録のこの一編があったからこそ、こうして改めて都筑道夫の作品と向き合う機会ができた。運命の配剤だと感謝するべきだろう。

最初の作品集、「ちみどろ砂絵」からまた読み直してみようかな。

40年近く経て、新しい発見があるかもしれない。

 

 

しばらく大阪で暮らしてすっかり大阪の水に馴染み、今でも大阪に帰りたいという想いは死ぬまで消えないと思うオレだが、生まれも育ちも東京の下町、やっぱり江戸弁で語られる物語は実に心地良い。思わずニヤリとしてしまう。

これは29歳の若さで夭折した都筑道夫の兄、落語家の鶯春亭梅橋の遺志を継ぐものだろうか…

 

 

追記:驚くことに、今回の出版にあたり企画・編集に尽力されたミステリ評論家の新保博久氏からtwitterでコメントをいただいた。

 

「宮部みゆき氏は多忙のため辞退されました。ほかにも同様なかたが」

 

さっそくご丁寧な返信に御礼とともに「ひと安心しました」と返信したところ、再度

 

「宮部さんらの不在に不審をいだかれたかたが、ほかにもいらしたでしょう。さりとて、誰に辞退されたと現本に書くわけにもいかず・・・。事情説明の機会を与えていただいて、こちらこそありがとうございます。」

 

うわー、なんと素敵な方なんだ!

シンポ教授、ありがとうございました。

 

 

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at 21:01, ださいおさむ, 読書

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「いつか陽のあたる場所で」 乃南アサ

8月は爆発的に本を読んだ。

二日に一冊のペースで、読んで読んで読みまくった。

それというのも7月に「書籍費に生活が圧迫されている」とボヤいたところ、非常に読書家の母を持つ心優しい友人が15冊ほど持ち込んでくれたから。

 

もともと読書家である彼女の母が、「好きな作家の作品を読みつくしてしまった。何か他に面白い作家はいないか」と相談を受けたのがキッカケだった。

母上の好みを聞き、それならばこの本をと何冊かピックアップしたところ、乃南アサをえらく気に入ってくれたようで、瞬く間に文庫で出ている作品を片っ端から読んでしまったらしい。

 

自分で薦めておきながら、オレ自身は「風紋」と「凍える牙」(直木賞受賞作)くらいしか読んでいない。

もしよかったら、読み終えた本をオレに回してくれない?

とお願いしたところ、快く承諾していただいた。

 

そこで出会ったのがこの作品。

NHKでドラマ化されたそうだが、まったく知らなかった…

 

主人公は女子大生の身でホストに入れあげ、貢いだ挙句に昏睡強盗の罪で7年間を塀の中で過ごした小森谷芭子(こもりや はこ)。

彼女は出所後も「家族の恥」と謗られ、祖母の住んでいた東京・谷中の小さな家と、しばらくは生活できるくらいの現金を生前相続という形で渡されて縁を切られた。

 

「前科者だと知られたら、この町で生活することはできない」常に過去に怯えながら毎日を過ごす彼女。罪は7年間の懲役で償ったはずなのに、出所しても彼女は世間に対して自分自身で塀を作らなければならなかった。

21歳で逮捕。7年前の懲役を過ごした芭子はまだ29歳。まだまだ未来がある若さなんだが、罪は償っても記憶からは消えないのだ。

 

唯一気を許せるムショ仲間、江口綾香が彼女の救い。

一回りも年上だが、なぜかウマが合う。

綾香も芭子の家の近所に住み、週に何度か一緒に食事をし、月に一度は飲みに行く。

 

刑務所では出所後の元囚人通しの交流を、また良からぬ道へ踏み出すことのないように避ける。

どうして二人が再開できたのかは大きな謎なんだが、必要とする人とは出会うことになっているのが世の中の奇跡だ。

 

乃南アサは物語を描くというより、丹念に人を描くことによって物語を作る。

この作品も、世を憚りながらも力強く生きていく芭子と綾香の日常が生き生きと描かれ、深い感動を与えてくれる。

 

短編集が文庫で2冊。

現在も書き継いでくれているし、単行本が2013年に発表された3冊目が文庫になるのもそろそろだろう。

また芭子と綾香に会えるのが楽しみだ。

 

 

 

 

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at 13:46, ださいおさむ, 読書

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「ネコソギラジカル 青色サヴァンと戯言遣い」 西尾維新

くだらないとか馬鹿げてるとか漫画だとか、もはや一冊目のミステリ小説という世界からは遥かに離れた物語と化してしまったが、とにかく圧倒的に面白い西尾維新の「戯言シリーズ」もいよいよ最終巻の9冊目、「ネコソギラジカル 下」に突入。

これで戯言遣いの「ぼく」とお別れなのかと思うと寂しい。読み始める前に、ちょっと感傷に浸る。

 

意味を持たないノリだけの言葉に翻弄され、人間の限界を超えたアリエナイ登場人物たちに踊らされ、何が何だかわからないまま読み進めてきた。

まったく西尾維新って特異な才能を持っている。

きっと彼自身がスタンド使いなんだろう、まんまと術中にはめられてしまった。

 

 

カバー帯には「ぼく達は幸せになった」と書かれている。

 

…つまり、死ぬんだな。

 

今までの流れで考えると、幸せは生きてる上では得られないと戯言遣いは言うだろう。

生からの解放によって、幸せになれるのだ。

 

さあ、ようやく青色サヴァンの少女のお話が読める。

彼女が何者で、戯言遣いの「ぼく」が何者なのか明かされる。

 

 

 

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at 18:48, ださいおさむ, 読書

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「京都寺町三条のホームズ」 望月麻衣

今年に入ってから徐々に読書量が増え、一時期まったく本を読んでいなかったのが嘘のように、6月は書籍代だけで一万超えた。

西尾維新のせいである。

 

このペースでは生活費が脅かされるので、先週知った無料電子書籍のサイト、Eエブリスタでライト・ミステリをチョイスしてみた。

 

西尾維新の「戯言シリーズ」の主人公が京都市内に住んでいる。

今回の舞台も京都。寺町三条といえば京都市内のやや北に位置する、その名の通りお寺さんが多い地区。

その寺町三条の商店街にある小さな骨董店「蔵」の三代目が”ホームズさん”こと家頭清貴、22歳。本職は京大の大学院生である。

 

本人は「苗字が家頭だから」と言うが、子供の頃から鋭い観察眼で人の心を読み取ってしまう。

先週読んだ「名画座パラディーゾ」の朝霧千映もそうだったが、人のちょっとした表情や仕草、話す言葉だけで心を読んでしまうライト・ノベルの探偵さんはシャーロック・ホームズ以来のお約束なのかな。

確かにいきなり「…って思ってますね?」と心の中を言い当てられたら気持ち悪いが、キチンと理由を説明してもらえば手品のようなもの。

 

この短編集は寺町三条のホームズさんを探偵役に、ひょんなことから「蔵」でアルバイトする女子高生、真城葵の五つの物語。

京都ガイドにもなるステキな一冊。

あぁ、オレももっともっとたくさん京都を巡るんだったなあと激しく後悔している。

特に貴船神社は昔から憧れていた場所。京都市内からはかなり北の奥深く、あまりにも遠いので二の足を踏んでいた。

愛とお金と時間は、いつまでもあるもんじゃない。

 

 

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at 19:14, ださいおさむ, 読書

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「名画座パラディーゾ 朝霧千映のロジック」

人と人の出会いが、物語の始まりである。

どんなストーリーであろうとも、人との出会いがなければそれは哲学書だ。

 

瀬川悠人23歳。大学を卒業して家電販売会社に勤めて2年目。日本映画界のメッカと言われる広島県尾道市に転勤になるが、彼自身は産まれてこのかた一度も映画館に行ったことはない。

 

映画音痴の瀬川くんが出会ったのは、祖父の遺した小さな映画館「名画座 パラディーゾ」を守り続ける若き女性支配人、朝霧千映24歳。

 

瀬川くんが勤める店の倉庫からデジカメが盗まれていることがわかり、瀬川くんに疑いがかかる。

話を聞いた千映さんは「ショーシャンクの空に」のような話ですねと言うけれど、映画音痴の瀬川くんには意味がわからない。

「ショーシャンクの空に」は、たいへん多くの映画ファンが「一番好きな映画」に挙げるほどの名作。それを知らない人がいることに千映さんは唖然とする。

 

しかし、瀬川くんとアルバイトの二人の会話を立ち聞きしただけで、千映さんは事件の真相を解き明かしてみせる。

 

かくして物語が始まった。

映画音痴の瀬川くんと映画マニア(しかも熱狂的な!)の千映さんの物語。

 

この短編集には名画を題材にしたライトな(殺人事件とか物騒なものではない)ミステリが4篇。

 

「ショーシャンクの空に」

「プリティ・ウーマン」

「シザーハンズ」

「ペイフォワード 可能の王国」

 

不思議な事件が起こると、千映さんは映画のストーリーになぞらえて真相を解き明かす。

どれもこれも、まったく素晴らしい映画であり、その名作映画のストーリーにミステリを上手くはめ込んでいる手際は実にお見事!

筆者の桑野和明さんはたいへんな映画好きのようで、作品の中でも千映さんの口を借りて多数の映画の魅力や薀蓄が語られる。

映画好きにはたまらないミステリだ。

 

 

実はこの作品、190万以上の作品が無料で読み放題の電子書籍の投稿サイトE⭐エブリスタから逆に書籍化された物。

うーん、そんな時代なのだ、映画館に行ったことがない若者がいても驚くことじゃないのかもしれない。

悲しいことだけど…

 

 

 

 

 

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at 17:58, ださいおさむ, 読書

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